TCFD提言に基づく情報開示

あいホールディングスグループは、環境問題への取り組みを持続可能な社会を実現するための本質的な課題と捉え、ISOに準拠した製品の開発や環境に配慮した製品の提供、また廃棄物の削減や省資源・省エネルギーの遵守など、事業活動における環境負荷の低減にグループ全体で取り組んでいます。特に気候変動問題に関しては、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD, Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しております。気候変動への取り組みを積極的に推進し、同提言に則って、気候変動に関わるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示を行います。

1.ガバナンス

◆取締役会の監督体制

当社取締役会は気候変動対応を経営上の重要課題の1つであると認識しており、「リスク管理」の観点だけでなく「事業創出」の観点からも監督しております。具体的には、当社取締役会は、「リスク管理」及び「事業創出」の両面から、気候変動対応を踏まえた、経営戦略、各種施策や事業目標の管理等を通じ、各部門・各子会社に対し、監督・指示を行っております。また、コンプライアンス・リスク管理委員会から当社グループの気候変動対応を含むサステナビリティへの取組み状況に関する報告を適宜受ける体制を構築しております。

◆経営陣の役割

当社は、気候変動対応を含むサステナビリティへの取組みを強化する観点から、コンプライアンス・リスク管理委員会の下部組織としてサステナビリティ対応プロジェクトを立ち上げております。サステナビリティ対応プロジェクトは、コンプライアンス・リスク管理委員会の指示・監督の下で、各部門・各子会社における気候変動対応の取組みについて適宜、監督・情報共有を実施しております。なお、代表取締役はコンプライアンス・リスク管理委員会を通じて当社グループの気候変動対応に関する取組みを監督しており、必要に応じて、業務執行部門及び子会社に対応策等の指示を行っております。

(ガバナンス体制図)

2.戦略

気候変動が当社の事業戦略に及ぼすリスクと機会について、2℃シナリオ、4℃シナリオの2つのシナリオに基づき評価し、対応策を検討しました。シナリオ分析に用いた前提は下記の通りとなります。
分析の対象は、あいホールディングス株式会社、株式会社ドッドウエル ビー・エム・エスの2社としました。分析時間軸は2030年を選択、2℃シナリオとしてIEAのSDSシナリオ(Sustainable Development Scenario)とIPCCのRCP2.6等を、4℃シナリオとしてSTEPシナリオ(Stated Policies Scenario)とIPCCのRCP8.5等を採用しました。

シナリオ分析の前提

分析背景対象
企業範囲あいホールディングス株式会社、株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス
分析時間軸2030年
選択シナリオ【2℃】 IEA SDSシナリオ、IPCC RCP2.6シナリオ
【4℃】 IEA STEPシナリオ、IPCC RCP8.5シナリオ

IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)

①気候変動のリスク

2℃シナリオでは、炭素税導入や環境配慮型製品の増加などに伴うコストの上昇が発生する見込みです。これに対し、当社では事業拠点における再生可能エネルギーの活用や省エネルギー化に積極的に取り組むとともに、環境に配慮された競争力のある製品を調達し、適切な価格設定を行うことにより、影響度の低減に努めます。
4℃シナリオでは、現状では当社の主要拠点における物理的リスクは低いと考えられるものの、今後も定期的に事業継続計画(BCP)の点検や、台風・洪水等の災害に対する保険の補償内容の見直しを行うことにより、異常気象の激甚化が進んだ場合においても影響を軽微にとどめる予定です。

②気候変動の機会

2℃シナリオでは、顧客の省エネルギー志向がより一層強まると想定できることから、業務用エアコンを自動制御して電力使用量を削減する「脱炭素システム」などの省エネ製品の拡販に一層注力するなど、顧客が省エネ・省資源を達成するためのソリューションを積極的に提供し、当社の事業機会につなげます。また、M&Aを活用し、新たな低炭素関連分野への事業拡大を検討していきます。
4℃シナリオでは、現状より自然災害が増加することが懸念されます。これに対して当社では、監視カメラを利用した防災対策ソリューションや、自然災害対策のための建設需要増加に対応する鉄骨CADシステムの提供により、それら自然災害による被害の低減に貢献します。

3.リスク管理

リスクマネジメント

◆気候関連リスクを特定し、評価するための組織のプロセス

当社グループでは、サステナビリティ対応プロジェクトにおいて気候関連リスクの特定・評価を実施する予定です。気候変動に関連する移行リスク及び物理リスクについて、シナリオ分析を踏まえたうえで、リスクと機会を特定し、そのうちリスクに関しては、財務的な影響を踏まえて重要性を評価し、対応策を合わせて検討してまいります。

◆気候関連のリスクをマネジメントするための組織のプロセス

サステナビリティ対応プロジェクトで特定・評価された気候関連リスクを含む重要なリスクは、コンプライアンス・リスク管理委員会を通じて、適宜、代表取締役及び取締役会等に報告、共有がなされており、適切な対応策の検討を実施する予定です。具体的には、気候変動に関するリスクのうち、当社グループの経営に重大な影響のあるリスクについては適宜、取締役会において審議を行い、業務執行部門及び子会社への指示・報告等を通じて、リスク事象の発生の回避及び発生した場合の対応策を検討してまいります。

◆組織の全体的なリスクマネジメントへの統合

当社は、全社的なリスク管理体制として、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置すると同時に、「リスク管理規程」を制定し、組織横断的なリスクの管理を行う体制を構築しております。具体的には、コンプライアンス・リスク管理委員会はグループ内に重大な損失を与えるおそれのある重要なリスクの選定、審議を行い、経営会議及び取締役会に報告することで総合的なリスク管理体制及び対策の強化を図っております。また、グループ会社を含む各部門においてはリスク管理を統括するリスク管理責任者を定め、リスク管理の進捗状況を毎月委員会に報告するほか、重要な事項については随時委員会に報告することとしております。サステナビリティ対応プロジェクト等において特定・評価された当社グループに重大な影響を与える気候変動リスクを含むサステナビリティリスクに関しても、必要に応じてコンプライアンス・リスク管理委員会が代表取締役及び取締役会に報告し、対応策の検討を行っております。

4.指標と目標

当社では、CO₂排出量削減率を気候変動への取組みの評価の指標とします。2030年6月期には2017年6月期比で50%削減を目標としています。

単位:t-CO₂ 2017年
6月期
2018年
6月期
2019年
6月期
2020年
6月期
2021年
6月期
2022年
6月期
2023年
6月期
Scope1723676667631676674681
Scope2274312305205181204167
Scope1,2合計997988972836857878848

※:あいホールディングス株式会社、株式会社ドッドウエル ビー・エム・エスのみを開示対象としている。CO₂排出量の算出にあたっては、社有車のガソリン使用量、本社ビルの電気使用量を集計。2023年6月期については、排出係数が未発表のため、前年の排出係数を使用。
※Scope1:事業所で使用するガソリン、軽油等の燃料の使用による直接排出
※Scope2:事業所で他者から購入した電気の使用に伴う間接排出